2002.3.3 (Sun)
快晴。山頂気温-6度。

今日の登山の事は、載せたくなかったんですが、自戒の意味を込めて、有りのままを書きます。

午前8時頃、桝水原から大山寺に向かう道が渋滞していた。「あれ〜事故かな?」と思っていると、 次々に車がUターンし始めた。「何? どうした?」
Uターンした4駆のお兄さんが「この先2ヶ所程の坂がアイスバーンでツルツルで、登れないんです」
私のタイヤを見て、「4駆でもそのタイヤじゃ、無理ですよ」
そんな事はないだろ〜 いつも通ってるし、止まらなければ行けるはず・・・
皆がUターンするので、自然に前の方に進むと、4〜5台が道の真中でチェーンを付けている。
「おいおい、君達(実際はおまえら)みたいなんがいるから、渋滞するんだろうが・・・」と心の中で叫ぶ。
自信のありそうな2台の4駆が、それらを追い越して進み出したので、私も少し距離を置いて付いて行った。(もちろんセンターデフロックに切り替えて・・・)
「頼むから、前の車!!  止まらないでくれよ〜」
そうです。止まらなければ、スリップサインの出かかった、こんなオールシーズンタイヤでもちゃんと登れるんです。

こんな「何とかなるだろう〜」という無謀な性格が今回の大惨事を招いたんでしょう。

大山寺橋から ブナ林
大山寺橋から望むと、山頂までくっきり見えています。こんなにいい天気は珍しい。ブナ林にも朝日が差し込んで、 とっても、綺麗です。
この数時間後に、とんでもないアクシデントが起ころうとは、何も知らず登っていったのです。

2合目 後ろ姿
2合目です。 そうです! 今日は山スキーを担いで登ったんです。
靴はスキー・登山兼用靴。 目的は7合沢を滑ること・・・その為に苦労して・・・

ブナ林 
光の差し込むブナ林は、写真の何倍も本当に綺麗ですよ。
5合目にある「山の神」に手を合わさなかったから、トラブルになったんでしょうか?

樹氷
樹氷も綺麗ですね。日が当たると、徐々に樹氷が枝から落ちて、凍った雪面に当たり「カラ〜ン、カラ〜ン」とカワイイ音がするんですよ。

三鈷峰を望む
  樹氷の間から見える、宝珠尾根と三鈷峰

6合目からの北壁
6合目避難小屋からの北壁。右の別山には何人か登っていますね。

7合目から
7合目付近から見上げる登山道。右の小さな棒が草鳴社ケルン。
その左側がテカテカ光る7合沢。下山時には多少雪がゆるんでいると思っていました。
左端が剣ヶ峰・・・雪炎が上がっているのが分かりますか?

草鳴社ケルンから
その草鳴社ケルンからの展望。弓ヶ浜がかすかに見えます。
正面の黒っぽい山が、孝霊山(751m)。右の白い所が大山スキー場。

8合目からの北壁
8合目からの北壁。
正面手前の岩が露出している出っ張りが「別山」。この時期でないと登れません

9合目の雪庇 小屋〜剣ヶ峰
9合目付近の雪庇。向こうに日本海が見える景色が凄い!と思ったんですが・・・
右の写真〜雪紋(シュカブラ)が見事です。4本の棒は山頂小屋の風力発電用の塔。

弥山から
弥山(三角点)からの圧倒される展望。剣ヶ峰までの雪炎が凄い迫力です。
縦走している人が2〜3人確認できました。

弥山から別山方向
弥山から別山(手前の岩が露出しているでっぱり)方向を望む。

山頂小屋
山頂小屋の向こうに、弓ヶ浜がはっきり見えないのが残念。
この左方向に向かって滑っていくんですよ。


山頂小屋(3月3日) 染まる大山(3月4日)
岡山の大山迷人さんから頂いた写真。
同じ日の山頂小屋と、次の日、黎明の剣ヶ峰(モルゲンロートに染まった南壁)

スキー
かなりのアイスバーンですが、結構楽しめました。
このへッピリ腰が、後でとんでもない事に・・・

山頂台地
山頂台地に、なかなかのシュプールを描いたつもりが・・・よく写ってませんね (^_^;)
遠くに風力発電の塔が見えますね。この台地の下には「ダイセンキャラボク」が眠っています。

 8合沢
8合目上の出っ張り。ちょっと先まで行ってみたいような・・・
右の写真が問題の7合沢上部!! 影は写真を写している、まだ元気な私。
写真では分かりませんが、12時過ぎているのにガリガリのアイスバーン状態。
「怖いな〜」と思ったら、止める勇気が必要でした。なんとかなるだろうと、甘く見たのが大失敗でした。

このチョット下の草鳴社ケルン付近から、滑り始めたんですが・・・
「ガリガリ〜」ばかりで2〜3回ターンしたら 「こりゃマズイな〜 もう少し下の方から滑ろう」と思った瞬間!
エッジが抜けて転倒しました。 滑落です。全然止まりません!!
スキーを履いていて、かつスキーストックでは滑落防止姿勢どころか、スキーが引っ掛かる為、うつ伏せ姿勢で頭から滑って行きます。全然ブレーキが効きません。石のように凍った氷の上を滑っている感じ・・・すぐ目の前を氷の斜面が恐ろしい勢いで通り過ぎて行く・・・ 「まずい〜〜止まらない〜〜 ヤバイ!! なんとかしなくては!」 滑落しながら、考える事は一つだけ・・・「何とか止めなくては!」 残された方法は、所々出ている木やブッシュをつかむしかありません。 何度か小木にぶつかりながら、やっと木の枝をつかんで、からくもストップ。何メートル落ちたか分かりません。7合沢の中間より少し下辺りか?

それより左足に痛みが・・・シマッタ!・・・顔や手足は擦り傷だらけ・・・しかも板が片方無い!? 下まで落ちたか、上に残ったか? どこにも見当たらない。下ならなんとかなるけど、上まで探しに登り返す元気はありません。 「こりゃあ、諦めるしかないか」と思った時、上から上級者のスキーヤーの方が降りてこられるではありませんか。「その辺に板がありませんか?」
約20m上方で「ここにありますよ」 その人も板を持った状態では、横滑りがやっと・・・「有難うございました」

さて、板は揃ったが、この足ではとても滑れる状態じゃありません。アイゼンを付けて歩いて降りることに・・・
スキー靴にもアイゼンが付くことは確認してたんですが、紐(バンド)を登山靴に合わせて切ってあった為に、足りない、短い!
何とか使用可能な位に取りつけた時、知り合いのUさんがお友達と歩いて降りてこられました。
事情を説明すると、「足を痛めたんなら、確保してあげるから、シリセード(尻で滑る)で降りましょう」ということになり、板を持ってもらい、二人にザイルで確保してもらいながら、慎重に、ゆっくりと・・・
足を痛め、かつスキーストックではなかなかブレーキが効きません。自分の身の程知らずを猛反省し、お二人に感謝しつつ、誠に申し訳ない気持ちで一杯でした。
元谷までにお二人がそれぞれ一回ずつスリップされた程のアイスバーン状態でした。
元谷からは、曲がったストックを杖にして、足を引きずりながら歩いて・・・やっと車まで・・・
大山寺までが、こんなに長いと感じたのは初めてでした。可能な所は全てシリセードで降りました。
本来、登山道では後から登る人のことを考えて、シリセードはご法度ですが、今回は非常事態だったのです。
許して下さい m(__)m

右足は大丈夫だったので、なんとか運転して、家までたどり着きました。
スキーの腕も無いのに、全く無謀でした。 皆さんにご迷惑をお掛け致しました。

左大腿部(太もも)の打撲・挫傷。左膝の捻挫。擦り傷は無数。
もっと大怪我をしていても不思議ではない状況だったと、皆から言われて恐縮しております。
(後日、分かったことは『左膝の後十字靭帯断裂と半月板損傷』でした。)

 
それでも帰りに写した大山は雄大でした。
右は一番気に入った写真〜沸き上がる雪炎(地吹雪)〜人が立って居る所が弥山です。
【 写真をクリックすると拡大版が見れますよ 】

本当に今日は、反省の一日でした。
ここに載せることで、今後の自分への戒めと致します。

6日後の3月9日(土)、同じ場所で同じようにスキーで滑落した37才の会社員の方は、残念ながら亡くなられました。
運が悪ければ、私が死んでいたのかもしれません・・・合掌・・・

 

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